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クラシック音楽を聴く方ならご存じのヴァイオリン名曲(後編)

クラシック音楽の超定番と言える曲の後編です。あれもこれもとご紹介するとキリがなくなるため最小限に絞りました。今回は下記の4曲を取り上げます。

・マスネ タイスの瞑想曲
・サラサーテ ツィゴイネルワイゼン
・ベートーヴェン スプリングソナタ/クロイツェルソナタ
・バッハ 無伴奏ソナタとパルティータ シャコンヌ

先回と同じく曲自体についてはウィキペディアにも詳しい情報はがありますので、簡単な記述に留めさせて頂きました。また、先回と同じく該当CDへのAmazonへのリンクを張りました(広告リンク付きですが、収益目的よりも著作権問題の回避を主な目的としています。ご了承下さい)。一部には試聴できるものもありますが、PCでは視聴できてもiOSでは動作しないようです。その点にもご容赦下さい。

マスネ タイスの瞑想曲

ヴァイオリン小品の中で最も有名な曲のひとつでしょう。甘美なメロディ、厚みのある低音、無理のない音域で伸びやかな高音など、ヴァイオリンの良さが最大限に生かされた奇跡の一曲と言っても過言ではないでしょう。実際、うまくヴァイオリンがよく響く音が多用されていて、緻密な計算がなされていると感じます。

この曲も録音は大変に多いのですが、往年の名演奏家ミッシャ・エルマンによる晩年の録音を推奨したいと思います。エルマン・トーンと呼ばれた美音の持ち主で、一世代前のいささかロマンティックに歌い上げるタイプの演奏と言えます。耳をつんざく音の多い中、ヴァイオリンの音の文化遺産として遺したい演奏です。

一般的なヴァイオリン教室で取り上げられる事は少ないでしょう。技術的な無理は少ないのですがイメージ以上に演奏は案外困難です。フランス音楽にありがちな複雑なリズムがこの曲でも使われていますし、強弱も細かく指示されています。まずは楽譜通りのリズムで弾くことと、音色は弦を鳴らすのではなく楽器を響かせて最上級の美音で弾く必要があります。だからと言って必要以上の感情移入して弾くべきではなく神聖に弾くべき曲です。ですが、名曲中の名曲ぜひ取り組んでみて頂きたいと思います。

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なお、同じディスクの他の曲も良き時代を思わせてとても素敵です。

 

サラサーテ ツィゴイネルワイゼン

音楽愛好家にとってはヴァイオリン曲で最も有名とも言えるでしょう。あまりに有名すぎてむしろ生演奏で聴く機会は少ないように感じるほどです。情熱的なメロディと派手な技巧を織り交ぜて、かつては最も難しいヴァイオリン曲とも思われていました。この曲で左手のピチカートや技巧的フラジオレットを初めて知った方も少なくないでしょう。

これも大変録音の多い曲ですが、ヤッシャ・ハイフェッツの1951年の録音が定番中の定番、超名演と言えます。もっと速い演奏もありますし、もっと正確な演奏もあります。でも、ハイフェッツ独特のテンションの強さやフレーズ毎の音楽の勢い(ドライブ感)がこの曲にうまくマッチして、聴いていて胸が苦しく切なくなるような思いと速い箇所の鮮やかさには爽快感を得られます。演奏を聴くのは他人事にもなるものですが、ここまで我が事になる演奏は多くありません。

ヴァイオリン教室のレッスンで取り上げられる事はあまり無いと思います。ですが、ヴァイオリニストの書いた曲と言う事もあり、聴くほどには技術的な難しさはなく、思った以上に練習を進められ練習するほど弾けるようになる曲かと思います。ただ、ハイフェッツのように弾くのは誰にとってもほとんど不可能です。

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同じディスク内の序奏とロンドカプリチオーソも超名演です

 

ベートーヴェン スプリングソナタ

ヴァイオリンソナタの中では最も有名な曲と思います。その名の通り「春」を思わせる1楽章冒頭の甘美なメロディは大変に印象的ですし、決然と意思を示したと思ったら陽が陰ったり再び差してきたりと「春」の心象風景が目に浮かぶようです。その表情の豊かさでもヴァイオリンソナタの中でも代表格の曲ともいえるでしょう。

改めて録音をいろいろ聴いてみましたが、変に歌いすぎていたり景色が見えなかったりピンと来るものはあまり無く名盤の選定の難しい曲だなと思わされました。その中で、それほど有名な録音ではありませんがApple musicで見つかったカール・ズスケの録音が端正に真面目に、でも美しく、ピアニストの音も派手でなくても説得力のある演奏に思えました。同じくドイツのヴァイオリニストのアドルフ・ブッシュの演奏も同じ世界を感じさせて、これがベートーヴェンでありドイツの音楽なのだろうと思わされました。

ベートーヴェンの他の曲と同じく、聴いた印象以上に演奏は困難です。ヴァイオリンをあまり知らないピアニストが書いた曲のためなのか技術的にも弾きにくい箇所は多いし、不要なことは何もやらず徹底的に楽譜通りに弾く必要があります。

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このページにリンクしていますがリンク先はCDではなくMP3ダウンロード
ですので購入の際にはご注意下さい)。CDはやや入手困難のようです

 

バッハ 無伴奏ソナタとパルティータ シャコンヌ

無伴奏ヴァイオリン曲の中で最も有名な曲でしょう。それぞれ数曲ずつのセットになった6つの曲で成り立っていて、そのうちパルティータ2番の最後の曲「シャコンヌ」が特に有名です。宇宙の始まりから終わりまでを表す(?)とも言われ、ヴァイオリン音楽だけではなくクラシック音楽全体で見ても最大の評価を得る名曲のひとつと言えます。

別のページでもご紹介していますが、大変多くの録音があり今なお多くの新譜が出ます。古くはシゲティ、シェリング、クレーメル(旧録音)などヴァイオリンの世界では伝説的な名盤があり、また、バロック演奏の再解釈でバロック楽器による録音も多数出てくるようになりました。その中で、バッハの無伴奏としてはいささかマイナーな録音ですがアルテュール・グリュミオーの演奏を推奨したいと思います。美しい音色と音楽的な勢い、自然な流れが高度にバランスされた演奏と思います。

この曲は、聴いた印象に違わず演奏は大変困難ですし、技術的にも解釈の上でもやるべき事は多数あります。特に伴奏付きの通常のヴァイオリン曲との最大の相違点は「ひとりで合奏をしている」点にあります。ひとりで、バス、テナー、アルト、ソプラノなど各声部を弾き分けなければなりません。聴く上でもそのことを知って聴くと、聴き方が全然変わってこの曲の面白さが増すかと思います。

多くのヴァイオリン教室で「無伴奏ソナタとパルティータ」のうちどれかの曲は課題になり大いに苦しめられることでしょう。でも、楽器がとても良く響くように書かれているようで、わたしは最初に取り組んだときに独特の豊かな響きに感動したことを覚えています。その響きを体験する上でも、シャコンヌは大変としてもぜひ比較的容易な曲から取り組んでみて頂きたいと思います。

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