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次のサイト記事「弓について」で弓の金具に使われている場合があるニッケルについて調べたら、500円玉や100円玉などの白銅硬貨は平時はお金として流通させておき、有事の時は回収し銃の薬莢の材料になると知った。そう言えば青銅や黄銅、アルミも有事の時には重要な資源(=武器の材料)になると気づかされた。国家というのはリアリティを持ってよく考えられているものと感心した。
土曜日は東京にてレッスン。急遽お休みになってしまわれた方もおられたものの7コマと多くの方にお越し頂きました。購入検討中のヴァイオリンということでお持ちになった楽器が素晴らしく良くかつ安価でわたしの側が驚きました(安いにはワケはあって骨董価値は低いのですが、安くて良い音のものはあるものです)。お越し頂いた皆様有難うございました。
オールド楽器を2挺持っている。それぞれ購入から10年以上経ち修理が必要にもなってきた。以前から音の出方に問題がありバスバー調整を職人さんに提案されていたオールド楽器1、先日裏板と横板との接着が剥がれてしまったオールド楽器2。金曜日に名古屋のシャコンヌさんに出かけて両方の修理をして頂いた。
オールド楽器2は剥がれてしまった箇所だけでなく、剥がれそうな箇所もあったとのことで併せて修理して頂いた。
オールド楽器2。剥がれた箇所を接着して乾くまで留めている様子。何カ所か剥がれていたそうな。
時間が経つとニカワが劣化してくるので、やらなければならない修理です。
オールド楽器1は購入してから初めての解体修理。表板を剥がす様子も見せてもらった。パガニーニがグァルネリ・デル・ジェス「カノン」の修理をヴィヨームに依頼した際、板を剥がすバキバキバキという音にパガニーニは苦痛に顔をゆがめ「見ていられない」と冷汗混じりに退室した、と言う伝説がある。
そうなるだろうかと思ったら、ご飯粒で接着した木箱を解体する程度の感覚であっさりパリンと表板が外れた(損傷させず表板を剥がすのは凄い技術と思うが、素人目にはそう見えた)。
わたしも初めて見る表板の裏側。思ったより状態が良くて驚いた。
f字孔近くの割り箸のようなものがバスバー
反対のf字孔近くの楕円形に見えるのが魂柱パッチ
白い線は割れを和紙で留めてある箇所(和紙での補強はよくある方法です)
縁の白い木材は減ってしまった木材を足してある箇所:ハーフエッジです
同じく裏板の裏側の感動のご対面。
中央継ぎ目に沿った四角い木片がパッチだが、これは剥がし和紙での補強に
して下さった(この方が音への影響が少なく本来の音が出る)
とても状態は良いがコーナーブロックなど細部を見ると年式相応と分かる。
なおエンドピン側のブロック、手の当たる側のライニングはオリジナルではない。
マニア的には非常に興味深い中身でわたし自身はかなり感動した(感動のポイントは分からなくていいです。時代であり作りであり仮説に対するエビデンスがいくつもあったのです)。この機会に表板や裏板、横板の厚みも測定してもらった。中央付近は厚め端は薄めなどセオリー通りだが基本的には薄い。横板なんかは薄いところは0.6mmの箇所も。ワオ!
裏板に張ってあったパッチも外し(あまりに簡単に剥がれた)、バスバーを少し削り、接着し、数時間で元の姿にしてもらった。1ヶ月ほど預けることになると思っていたが1日で治った。すごい!普通は預かりになるであろうところ特急で作業をして頂き大感謝です。
オールド楽器1は雑音感と弾きにくさが減り音が素直に出るようになったし特にE線の音が美しく感動的な音になった(本当に良い音になった!)。オールド楽器2も低音が腰抜けのようになっていたのがしっかりお腹から音が出るような感じになった。
土曜日のレッスンではオールド1だけでやっていました。健康を取り戻して素晴らしく良い音になって大満足(^^)。作業をして頂いた職人さんに本当に感謝です。