ヴァイオリン教室「ヴァイオリンがわかる!」

ヴァイオリン教室「ヴァイオリンがわかる!」はヴァイオリンに対して熱意を持って取り組んでいる方を応援します。

楽器のご機嫌回復中

水曜・木曜は東京にてレッスン。今回も多くの方にお越し頂き有難うございました。

下にお示しするように8月の間はお借りした楽器ばかりを使っていて、自分の楽器は使っていなかった。1ヶ月ぶりに使ってみたら機嫌の悪いこと悪いこと。あまり鳴らない。少しずつ回復しつつあるけれども、楽器は使わないとダメだなあと感じましたです。やっぱり使わないと楽器も寝ちゃうね。


ガスパロ・ダ・サロをお借りしていた

8月の間楽器をお借りしていた。レッスンにお越しの方の中には、いつもと違う楽器だったことにお気づきだった方もいらっしゃるかと思う。「また買ったのか、いい加減にしなさい!」と思われたかもしれない(^^;

この一ヶ月全く公表していなかったのは、ネームバリューで客寄せしていると思われたくないため。使用楽器の作者名などは演奏者の自己満足に過ぎず、その名前が有名であるほど積極的に公表するようなことではないと思っているから。もちろん大変な貴重品のためセキュリティ上の理由もある。

f字孔の形状が特徴的

お借りしていた楽器はガスパロ・ダ・サロ。1500年代後半の楽器。ストラディヴァリやグァルネリに比べて、ガスパロ・ダ・サロは有名ではないがヴァイオリンの歴史上非常に重要な人物。というか、ヴァイオリンを発明した人のひとりとされるのでこの人がいなければストラディヴァリもグァルネリも名を残さなかったはず。弾いた者が狂い死ぬ「魔のヴァイオリン:チェリーニのヴァイオリン」の作者としても有名。ガスパロ・ダ・サロのヴァイオリンはcozio.comには15挺しか掲載されておらず、640挺ほど掲載のあるストラディヴァリよりずっとレア。

裏板中央には菱形の飾り(と思われる)

1500年代の超オールド楽器を時間をかけて試したい、ヴァイオリンの始祖を1ヶ月使うことで何か分かるかもと思っていた。弦楽器専門店のシャコンヌさんのレンタルサービスを利用して試してみることにした。展示会の際にはいつも弾かせて頂いている楽器だがレンタルするのは初めて。

8月2日から9月3日までお借りして、自分の練習もレッスンも全てこの楽器で行った。この間にレッスンにお越し頂いた方は全員の方がこの楽器をご覧頂き、この楽器の音がお耳に届いたことになる。

胴体の長さは362mmと長めで幅は狭い。1500年代ということでこれまでの歴史を物語る修理の痕跡が大変な貫禄。日本で言えば安土桃山時代で豊臣秀吉らが活躍していた頃。その頃の道具が使用しうる状態にあるというのも驚くべき事。この楽器はかつてイギリスの某有名楽器店にあったもの、スクロールは後世の作とのこと。

貫禄ある表板:1700年代の楽器が新しく見える

結果は、極めて有意義なものだった。ヴァイオリンをどう弾くべきか多くの発見があったし、楽器と曲との関係や、楽器を見る上でも大いに気づくことがあった。

お借りした当初はG線があまり鳴らず、やはり古くなり過ぎた楽器なのだろうかと思ったが、弾き方を変えることで鳴らすことが出来るようになってきた。この弾き方で普段使っている楽器を弾くととても大きな音で鳴る。それが本来のヴァイオリンの弾き方なのだろうと感じた。そして20日目頃からG線、D線がみるみる鳴るようになってきて楽器自体も鳴るようになってきたようだ。

曲も案外選ばないのは意外だった。テレマンやバッハの無伴奏が似合う気はするが、チゴイネルワイゼンやツィガーヌのようなものも結構違和感ないし、チャイコフスキーのコンチェルトもいける。ただ、胴体が長く幅が狭いためか、ポジション移動の多い曲では音程を取るのが難しく感じた。胴体の形状も音程の手がかりになっているのだなあと自分で感心した。

似合うであろう曲:バッハ無伴奏:ソナタ1番のアダージョ

似合わないと思っていた曲:チゴイネルワイゼン:案外違和感がない
(音程を大きく外してしまっています。どうぞ日記のネタとしてご容赦を)。

440年ほど前の楽器ということで、ヴァイオリンの歴史遺産そのもの。普通なら既に寿命を迎えた博物館行きの楽器とも言われるところだが、並のオールド楽器やモダンイタリーより音の張りも音量もある現役の楽器。そして何とも「良い音」。弾き方が違うので、ちょっと弾いただけでは「死んだ楽器」と思われてしまうかもしれないが、現在でも充分コンサート楽器として使用できる。ヴァイオリンの出始めのものがこれだけ優れたものだったことは驚くべきこと。ヴァイオリンがなぜ長年多くの人に愛されたか分かるような気がした。最初から、本当に優れた楽器として生まれたのだなと。

一ヶ月間、この楽器だけを弾いていて弦も張ったままだったが、それでもへたったような感じや楽器が疲れたような感じは全くなく、むしろますます元気という印象だった。

 



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